50代で家を買うなら一括払い・住宅ローンどっちが得か|住宅ローン減税、メリット・デメリットなど解説

※本コラムは、広く一般的な情報提供を目的としており、弊社のサービスに限らず、多くの方にとって役立つ内容を意識して執筆しています。
詳細なご相談や専門的なアドバイスが必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
50代で家を買うことを検討していて、「一括払い」を選択肢に入れている方も多いのではないでしょうか。
ただし「住宅ローン利用=住宅ローン減税のような優遇制度を活用できる」というイメージがあるため、「住宅ローンを利用するほうが得?」とお悩みの方もいらっしゃると思います。
今回は、茨城県全域で多くのご家族の家づくりをサポートしてきた『ノーブルホーム粋(SUI)』が、「一括払い・住宅ローン利用どちらが得か」をシミュレーションして紹介します。
「家の確保に対する不安」「家のために支払う費用に対する不安」を感じない暮らしを送るために、ぜひ最後までごらんください。
目次
50代で家を買うなら「一括払い」「住宅ローン」どっちが得か|諸費用を比較

家を買う際に住宅ローンを利用すると、「住宅ローン減税」という所得税の減税制度を活用できます。
そのため、「一括で家を買えるけど、あえて住宅ローンを利用してもいいのでは?」とお考えの方もいらっしゃると思います。
住宅ローン減税を活用して一括よりもお得に家を買うためには、「住宅ローン減税の総額>金利負担額+住宅ローン利用時のみ発生する諸費用」となる必要がありますよね。
そこではじめに、「一括払い」「住宅ローン」の諸費用の違いを紹介します。
「一括払い」「住宅ローン」諸費用の違い
家を一括払いで買う場合、住宅ローンを利用するよりも諸費用額を大きく抑えられるのが一般的です。
はじめに、一括払い・住宅ローン共通で発生する諸費用を確認しましょう。
- 土地・家(建売住宅の場合)購入時の仲介手数料
- 工事請負契約書の印紙代
- 火災保険料・地震保険料
- 土地・家の所有権に関する登記費用
- 不動産取得税
- 固定資産税の精算費用(前所有者が1年分の固定資産税を支払済みの場合、月割で精算するのが一般的)
住宅ローンを利用する場合、上記に加えて以下のような費用が発生します。
- 住宅ローンの金利
- 住宅ローン借入れ費用(保証料、事務手数料、契約書の印紙代など)
- 抵当権設定登記の費用
諸費用の具体的な額は状況に応じて変わりますが、住宅ローンの金利以外の諸費用額は、総予算の8〜15%が目安です。
(例)総予算4,500万円の場合、【総予算4,500万円×8〜15%=住宅ローン金利以外の諸費用360〜675万円】
ちなみに、住宅ローンを利用する場合でも、諸費用の多くは現金支出が必要という点も、念頭に置いておきましょう。
住宅ローン減税の額|一括払いにも減税制度がある

次に、「住宅ローン減税の具体的な額」「一括で家を買う場合の減税額」を確認しましょう。
「一括で家を買う場合は住宅ローン減税を活用できない」という情報をよく見かけますが、実は一括で家を買う場合も活用できる減税制度があります。
※今回は減税額のみ紹介しますが、減税制度には詳細な適用要件があるため(所得要件など)、事前に確認することをおすすめします。
住宅ローン減税で最大いくらお得になるのか
住宅ローン減税の減税額は住宅の省エネ性能に応じて3段階に分かれていて、減税期間は13年間です。
住宅の種類 | 1年間の減税額(1年間の最大額) |
---|---|
・認定長期優良住宅 ・認定低炭素住宅 | 住宅ローンの年末残高4,500万円×0.7% =最大減税額31.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 住宅ローンの年末残高3,500万円×0.7% =最大減税額24.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 住宅ローンの年末残高3,000万円×0.7% =最大減税額21万円 |
〈参考〉国税庁ホームページ『マイホームを持ったとき』
※国税庁ホームページ内の各ページの内容は、予告なく削除・修正などが行われる可能性があるため、家を買う時点の情報かどうかをご確認ください。
つまり「住宅ローン総額が高額であるほど&低金利であるほど(0.7%未満)」、家を一括で買うよりも住宅ローンで買う方がお得になる期間が長くなる(最長13年間)と判断できますね。
また、家を買ってから13年目を過ぎると減税制度は活用できなくなり、金利支払額が積み上がるのみの状況となります。
そのため、いつでも一括で住宅ローン残債を支払える状況の場合には、一括で住宅ローン残債を支払うべきタイミングを試算したうえで、住宅ローンを利用することをおすすめします。
一括で家を買う場合の減税額

一括で家を買う場合には、所得税が最大65万円減税される制度を活用できます。(制度名:投資型減税)
減税額の計算方法 |
---|
【45,300円×家の床面積(最高650万円)】×10%=最大65万円 |
〈参考〉国税庁ホームページ『マイホームを持ったとき』
※国税庁ホームページ内の各ページの内容は、予告なく削除・修正などが行われる可能性があるため、家を買う時点の情報かどうかをご確認ください。
「減税額<1年間で支払った所得税額」となる場合は、残りの減税額を翌年に繰り越せるため、繰越の計算例を紹介します。
(例)減税額65万円、1年間で支払う所得税額35万円の場合
1年目 |
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【減税額65万円-1年間で支払った所得税額35万円=2年目に繰り越す減税額30万円】 すでに支払った所得税額35万円が還付され、30万円を2年目に繰り越せます |
↓
2年目 |
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【1年目から繰り越した減税額30万円-1年間で支払った所得税額35万円=△5万円】 この年の所得税額は5万円となり、1年目から繰り越した所得税30万円が還付されます |
住宅ローン減税を活用後に住宅ローンを一括完済するべきタイミング

ここまで紹介してきた諸費用・減税制度を踏まえて、住宅ローン減税を活用する場合に、住宅ローンを一括完済するべきタイミング(金利支払額を積み上げるだけの状況に切り替わるタイミング)を、シミュレーションして紹介します。
例として以下の条件を設定し、固定金利・変動金利それぞれのシミュレーションをしました。
【住宅ローンの借り入れ条件】
- 住宅の種類:認定長期優良住宅
- 住宅ローン総額(頭金なしのフルローン):4,500万円
- 借入期間:30年(住宅ローンの完済年齢上限は一般的に80歳未満のため、35年ではなく30年と設定)
- 返済開始月:年始に住宅ローンを借り入れ、2月より住宅ローン返済
30年固定金利:数年間のみ住宅ローン減税を活用して一括返済がお得

長期的な視点で、「転職による収入変動」「短期間での金利上昇」といったリスクを考慮して30年固定金利(金利1.890%を想定)で住宅ローンを利用する場合、総減税額は332.3万円です。
一括で家を買う場合の最大限税額は65万円なので、大きな差がありますね。
ただし以下を踏まえると、住宅ローン借り入れから2〜3年目には住宅ローン減税の恩恵を受けられる期間が終了します。
- 金利支払いがある
- 住宅ローン利用時のみ発生する諸費用がある
- 一括で家を買っても最大65万円の減税制度がある
そのため、30年固定金利で住宅ローンを利用する場合は、「2〜3年間は住宅ローンを利用→3年目以降に住宅ローンを一括完済」という流れで、お得に家を買える可能性があると判断できます。
【計算条件:金利1.890%を想定】
※簡易的に、1,000円未満切り捨てで計算・表記しています。
期間 | 住宅ローン 年末残高 | 金利支払い額 | 減税額 |
---|---|---|---|
1年目 | 4,396.9万円 | 77.1万円 | 30.7万円 |
2年目 | 4,282.3万円 | 82.1万円 | 29.9万円 |
3年目 | 4,165.6万円 | 79.9万円 | 29.1万円 |
4年目 | 4,046.7万円 | 77.7万円 | 28.3万円 |
5年目 | 3,925.5万円 | 75.4万円 | 27.4万円 |
6年目 | 3,802.0万円 | 73.1万円 | 26.6万円 |
7年目 | 3,676.1万円 | 70.7万円 | 25.7万円 |
8年目 | 3,547.8万円 | 68.3万円 | 24.8万円 |
9年目 | 3,417.1万円 | 65.9万円 | 23.9万円 |
10年目 | 3,283.9万円 | 63.4万円 | 22.9万円 |
11年目 | 3,148.2万円 | 60.8万円 | 22.0万円 |
12年目 | 3,009.9万円 | 58.3万円 | 21.0万円 |
13年目 | 2,868.9万円 | 55.6万円 | 20.0万円 |
合計 | 908.3万円 | 332.3万円 |
変動金利:金利が低いほど住宅ローン減税でお得になる期間が伸びる

次に、住宅ローン減税の控除率0.7%と金利が同じ場合を想定して減税額を計算すると、総減税額は313.3万円でした。
(低金利であるほど元金返済が早く進むため、高金利の場合よりも総減税額は少なくなります。)
先ほどと同様に「金利・諸費用・一括払い時の減税制度」を踏まえると、住宅ローン借り入れから7〜8年目には住宅ローン減税の恩恵を受けられる期間が終了します。
そのため、変動金利0.7%で住宅ローンを利用する場合は、「7〜8年間は住宅ローンを利用→8年目以降に住宅ローンを一括完済」という支払い方法で家を買うと、お得になる可能性があると判断できます。
【計算条件:金利0.7%、13年間金利変動なしを想定】
※簡易的に、1,000円未満切り捨てで計算・紹介します。
期間 | 住宅ローン 年末残高 | 金利支払い額 | 減税額 |
---|---|---|---|
1年目 | 4,376.0万円 | 28.5万円 | 30.6万円 |
2年目 | 4,239.8万円 | 30.1万円 | 29.6万円 |
3年目 | 4,102.7万円 | 29.2万円 | 28.7万円 |
4年目 | 3,964.7万円 | 28.2万円 | 27.7万円 |
5年目 | 3,825.6万円 | 27.3万円 | 26.7万円 |
6年目 | 3,544.6万円 | 26.3万円 | 24.8万円 |
7年目 | 3,402.6万円 | 25.3万円 | 23.8万円 |
8年目 | 3,259.6万円 | 24.3万円 | 22.8万円 |
9年目 | 3,115.7万円 | 23.3万円 | 21.8万円 |
10年目 | 2,970.7万円 | 22.3万円 | 20.7万円 |
11年目 | 2,824.6万円 | 21.3万円 | 19.7万円 |
12年目 | 2,677.6万円 | 20.3万円 | 18.7万円 |
13年目 | 2,529.5万円 | 19.3万円 | 17.7万円 |
合計 | 325.7万円 | 313.3万円 |
※上記は「金利変動なし」「一括完済手数料なし」を想定してシミュレーションをしたため、実際には金利変動・一括完済時の条件に応じて計算をする必要があります。
住宅ローン減税を活用する場合に、住宅ローンを一括完済するべきタイミングをシミュレーションして計算しました。
住宅ローン減税をフル活用してお得に家を買うことを検討する場合には、住宅ローン総額・金利・実際の諸費用額など、ご自身の状況に応じて計算をする必要があります。
上記で紹介したシミュレーションを、計算の参考にしていただけると幸いです。
こちらの記事で、4,500万円以上の家を買う場合の返済シミュレーションも確認できます。
〈関連ページ〉住宅ローン6500万・6000万は年収いくらなら借りられるか・無理なく払えるか|返済額、借り方など
また、「一括払い」「住宅ローン減税」どちらで家を買うと得なのかを検討する際には、住宅ローン減税以外にも考慮するべき要素があるため、次に紹介します。
50代で「一括払いで家を買う」「住宅ローンで家を買う」メリット・デメリット

「一括払いで家を買う」「住宅ローンで家を買う」どちらを選択するかを決める際には「住宅ローン減税以外の要素」も重要なので、次に確認しましょう。
50代で一括払いで家を買うメリット・デメリット
50代で一括払いで家を買うメリットは、以下のとおりです。
- 金利・住宅ローン利用時の諸費用を支払う必要がない
- 住宅ローン手続きの手間なく家を買える
- 住宅ローン以外のローン利用をしやすい(カーローン、事業用ローンなど)
- 「家を買った時点で自身の資産になる」という安心感がある(定年後の住居確保への不安がない)
- 次の世代に土地・家を引き継ぐ場合、比較的良好な状態で住宅ローン残債のない家を残せる可能性がある
- ご家族構成・ライフスタイルが定まっている場合、将来増築・減築などが必要のない、ちょうどいいサイズ・設備の家づくりをしやすい
- 住宅ローン返済が必要ないため、土地・家の価値が変動した際に、売却などの判断をしやすい など
「次の世代に家を残す」「将来住み替える」といった選択の自由度が高まることに魅力を感じる場合は、一括払いを検討する価値がありますね。
一方で、一括払いには「一度に大きな資金を支出する&数千万円の資産価値が家のみに集中することになる」というデメリットもあります。
そのため、長期的な視点で土地・家の使い方を検討し、ご自身の資産に対する価値観と照らし合わせて、一括払いを検討していただけると幸いです。
50代で住宅ローンを利用して家を買うメリット・デメリット

次に、50代で住宅ローンを利用して家を買うメリット・デメリットも確認しましょう。
【メリット】
- 団体信用生命保険が生命保険・がん保険などの役割も果たす
- 住宅ローンは個人が借り入れできるローンの中で最も低金利の金融商品のため、金利支払いがあっても、手元に資金を残して別の運用が可能な点が魅力
- 手元の資金が不足している場合でもご家族構成・ライフスタイルに合わせた家づくりが可能で、将来の住居確保の不安を解消できる
- 現在50代の場合は、年代が進むごとに借り入れ期間が短くなり毎月の返済額が高くなるため、今がもっとも負担の少ない返済プランを組み立てられる時期
【デメリット】
- 住宅ローン完済までは家の抵当権者は金融機関
- 金利支払いが必要
- 住宅ローン返済中に定年を迎える場合は、収入変動によって住宅ローン返済が負担になるケースがある
- 事業資金などで大きな額のローンを利用する予定がある場合には、住宅ローンが弊害となるケースがある
50代から住宅ローンを利用する場合には、「長期間に渡って無理なく住宅ローンを返済できるか」を現実的に考慮して、返済プランを組み立てることをおすすめします。
茨城県で「家を買いたいけど、資金計画の組み立て方がわからない」とお悩みの方は、ノーブルホーム粋(SUI)へお問い合わせください。
家づくりに関する疑問・不安を解消したうえで、土地探し・資金計画の段階からご家族をサポートいたします。
50代から住みやすいのは一戸建てorマンションどっち

最後に、「50代で家を買う場合に、一戸建てorマンションどちらが住みやすいのか」を検討する際に役立つ情報も紹介します。
一戸建て・マンションどちらにもメリット・デメリットがあるため、ご自身・ご家族に向いている住まいを確認しましょう。
50代で一戸建てを買うメリット・デメリット
一戸建て特有のメリット・デメリットは以下のとおりで、50代で家選びをする際には、自由なライフスタイルを求める方に一戸建てが向いている可能性があります。
【メリット】
- 自由に好きなデザイン・間取り・設備の家づくりが可能
- ペットの多頭飼い・楽器演奏など、ライフスタイルを自由に楽しめる
- 住宅全体を自由にDIYできる
- 家が古くなり価値が低下しても、土地に価値がある
- 敷地内は、屋外空間も自由に使用できる
- 庭・駐車場との距離が近く、移動がスムーズ
こちらの記事で、好みのデザイン・間取りを実現した事例を確認できます。
〈関連ページ〉新築の古民家風住宅を紹介|外観・内装の施工例、費用が高くなるポイント、ハウスメーカーの選び方も解説
【デメリット】
- 敷地全体を整備する必要がある
- ご自身で修繕計画をたて、資金を確保しておく必要がある
- 土地探しが難航し、家をなかなか建てられないケースがある
- 敷地外と直接つながっているため、マンションと比較して防犯面の不安がある
新築時の防犯対策を、こちらの記事で確認できます。
〈関連ページ〉新築時に窓・ガレージをシャッターなし・ありどちらにするか|後悔・失敗する事例、防犯・災害対策を解説
土地物件は条件が良いほど買い手がつきやすいため、条件に合う物件を見つけたら早々に買付申し込みなどをする必要があります。
そのため、複数の手段を併用して土地探しをすることをおすすめします。
- 不動産業者に依頼
- 施工業者にサポートを依頼
- ご自身でインターネット検索 など
50代でマンションを買うメリット・デメリット

次に、マンション特有のメリット・デメリットも確認しましょう。
50代で家選びをする際には、好立地でコンパクトな暮らしを希望する方にマンションが向いている可能性があります。
【メリット】
- 好立地の物件が多い
- ご自身の住戸内以外の管理をする必要がない
- 一般的にオートロック・監視カメラなどが設置されていて、防犯面の安心感がある
- 常に周囲に人がいる安心感がある
【デメリット】
- 一括払いで購入or住宅ローン完済後も、管理費・修繕積立金・駐車場代などを支払い続ける必要がある
- 他住戸から聞こえる音が気になることがある
- ご自身の住戸から出る音に配慮して生活する必要がある
- 自由に間取り・デザインを決められない部分がある
- ライフスタイルに制限を感じるケースがある(ペット飼育、共用スペースの使い方など)
- 高層階の場合は災害時に避難しづらい
一戸建てorマンションの選択は、50代からの理想のライフスタイル実現に大きく影響します。
ご自身・ご家族がどのように暮らしていきたいかを具体的に考えて、最適な選択をしていただけると幸いです。
茨城県で一戸建ての新築を検討中の方は、ノーブルホーム粋(SUI)へお問い合わせください。
理想のライフスタイルを丁寧に伺い、長く愛着を持って暮らせる家づくりをサポートいたします。
まとめ
50代で家を買うことを検討している方へ、一括払いor住宅ローン利用どちらがお得かを判断する際に役立つ情報を紹介してきました。
住宅ローン減税のみにスポットを当てる場合、一般的には「住宅ローン総額が高額」「金利0.7%未満」という2つの条件を満たす場合に、住宅ローン利用でお得になる期間が長くなります。
ただし「一括払い」「住宅ローン利用」を比較する際には住宅ローン減税以外のメリット・デメリットも検討する必要があるため、今回紹介した情報を参考に、ご自身の価値観に合致する選択をしていただけると幸いです。